16. 夢を見る

あれから1年以上経ちました – 夢を見る

 2~3カ月に一度、タバコの夢を見る。

  この年になると、夢を見る機会も相当減ってきているが、まだ夢は見る。(夢は見ているのだが夢を見たことすら覚えていないのかもしれない)
その夢はシチュエーションこそ違えストーリーは決まっている。

 何の気なしに目の前のタバコに手が伸びる。口にくわえてごく自然に火をつける。何十年も繰り返してきた動作なので実に自然である。
 そして、紫の煙を燻らす(くゆらす)のである。その紫煙は実にうまく、ゆったりとしたときの流れに身をゆだねる。実に久しぶりの心地よさである。ふ~~。

 タバコの火も徐々にフィルターに近づき最後の吸引を行おうとすると頭がくらくらしてくる。

「あっ!」

 禁煙していたんだ!! っえ? 何で吸ったんだ!! おい!! こら!! どうしてくれる!! っえ!! いままでの苦労が水の泡か? 何で吸ったんだ!! あのときの苦労が水の泡? どうしてだ!! どうしちゃたんだ!! 取り返しのつかないことをやっちゃったな!! あ~あ。

 あまりに軽率な自分の行動に落胆してしまう。「覆水盆に返らず」を虚脱した全身で感じる自分を哀れだと肩を落としきると眼が覚める。

 この夢から禁煙が私にとって如何に過酷なものであったかがわかる。

 しかし心理的には納得できない。それほどの苦労をし現在もなお達成している自分に満足感と自信があるのに、夢の自分は軽率で意思薄弱である。
 このギャップに深層心理があるとしたら・・・

<旧ホームページより転載 2003年7月綴>

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